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阿蘇の野の花と蝶
阿蘇山は東西約16Km、南北約24Kmに及ぶ世界最大のカルデラをもつ火山である。釈迦の涅槃像にもたとえられる阿蘇五岳は中央火口丘にあり、最高峰の高岳(1592m)をはさんで東に根子岳(1433m)、西に中岳(1506m)、烏帽子岳(1337m)、杵島岳(1326m)が連なる。現在も活発な火山活動が続き、中岳の火口底には熱泥が沸騰している。そのため山頂部は溶岩に覆われ、めぼしい植物は少ない。
しかし高岳の火口壁や仙酔峡を埋め尽くすミヤマキリシマの大群落は圧巻だし、5月下中から6月上旬に満開となるイワカガミなどは一見の価値がある。
花の種類が多いという点では、根子岳がいちばん花登山に適している。根子岳では6月にオオヤマレンゲやシライトソウ、カノコソウ、ツクシマツモトなどが見られ、特に上り始めの草原に花が多い。
阿蘇山の花を特徴づけるのは、一にも二にも山ろくに広がる広大な草原にある。
阿蘇は野の花の宝庫である。広大な阿蘇の草原は、長い年月をかけて人間が作り出した自然だ。定期的な草刈や野焼きなど、人の手が適度に加わることによって、勢いの強い植物も、弱い植物も平等に生きのびてこられたのである。